事業用電気通信設備の管理規程の届出とは?

電気通信事業登録または電気通信事業届出の後、自己回線を所有、または設備の所有者と「IRU契約」を締結して電気通信事業を始める方は、一定規模以上の場合、役務(サービス)の開始前に「事業用電気通信設備の管理規程の届出」を、本社の所在地を管轄する総合通信局へ行う必要があります。

 

管理規程の届出を行う際は、自らの事業用電気通信設備について、管理の方針・体制・方法、電気通信設備統括管理者の選任に関する事項を定めた管理規程書を用意しなければなりません。

 

電気通信設備の内容によって多少異なりますが、管理規程には次のような記載が必要です。

※自らの設備・役務に該当する項目は、必要な書類を用意し、提出する必要があります。

 

【管理規程に必要な記載事項】

1.電気通信役務の確実かつ安定的な提供を確保するための事業用電気通信設備の管理の方針に関する事項

 次の管理方針について記載が必要です。

 (1)組織の全体的かつ部門横断的な事業用電気通信設備の管理方針に関すること

 (2)関係法令、管理規程その他の規定の遵守に関すること

 (3)通信需要、相互接続などを考慮した事業用電気通信設備の管理方針に関すること

 (4)災害を考慮した事業用電気通信設備の管理方針に関すること

 (5)情報セキュリティの確保のための方針に関すること

 

2.電気通信役務の確実かつ安定的な提供を確保するための事業用電気通信設備の管理の体制に関する事項

 次の管理体制について記載が必要です。

 (1)経営の責任者の職務、責任、権限などに関すること

 (2)電気通信設備統括管理者の職務、責任、権限などに関すること

 (3)電気通信主任技術者の職務、責任、権限など及び代行に関すること

 (4)各部門の責任者の職務、責任、権限などに関すること

 (5)各従事者の職務、責任、権限などに関すること

 (6)組織内の連携体制の確保に関すること

 (7)組織外の関係者との連携及び責任分担に関すること

 

3.電気通信役務の確実かつ安定的な提供を確保するための事業用電気通信設備の管理の方法に関する事項

 次の管理方法について記載が必要です。

 (1)基本的な取組に関すること

 (2)事業用電気通信設備の設計、工事、維持及び運用に従事する者に対する教育及び訓練などの実施に関すること

 (3)事業用電気通信設備の設計、工事、維持及び運用に関すること

 (4)通信量の変動を踏まえた適切な設備容量の確保に関すること

 (5)情報セキュリティ対策に関すること

 (6)ソフトウェアの信頼性の確保に関すること

 (7)重要通信の確保及びふくそう対策に関すること

 (8)緊急通報の確保に関すること

 (9)防犯対策に関すること

 (10)事業用電気通信設備の設計、工事、維持及び運用に従事する者による誤りを防止するための対策に関すること

 (11)事業用電気通信設備のうち、その損壊または故障などによる利用者の利益に及ぼす影響が大きいものとして総務大臣が別に告示するもののリスクの分析及び評価に関すること

 (12)上記(11)に関する取組を踏まえた事業継続計画またはこれに相当する計画の策定に関すること

 (13)ふくそう、事故、災害その他非常の場合の報告、記録、措置及び周知に関すること

 (14)利用者の利益の保護の観点から行う利用者に対する情報提供に関すること

 (15)事故の再発防止のための対策に関すること

 

4.電気通信設備統括管理者の選任及び解任に関する事項

 統括管理者の選解任について、基準、選任方法を定める必要があります。

 

5.当該管理規程の見直しに関する事項

 

コア機能(交換機能、電気通信設備の制御機能、電気通信設備の運用・監視または保守に係る機能、通信の接続または認証に係る加入者管理機能)を提供する事業用電気通信設備の全部または一部を構成する設備の運用を委託している場合、他者が提供するクラウド・コンピューティング・サービスなどを通じてコア機能の提供を受ける場合は、その相手先について上記の業務管理体制に関する事項の管理規程が必要となります。

 

 

この管理規程の届出は、設備や回線を借りて事業を行う(自己回線を所有しない、設備の所有者と「IRU契約」を締結しない)場合は、貸主である電気通信事業者が管理規程を定めている設備となるため、音声伝送役務用設備コア機能社会的影響がある事業を除き、お手続きを行う必要はありません。また、同じ敷地内で設備を設置するような小規模の電気通信役務である場合も、手続きが不要な可能性があります。

音声伝送役務用設備とは、アナログ電話用設備、総合デジタル通信用設備、固定電話番号を使用するインターネットプロトコル電話用設備、携帯電話用設備、特定携帯電話用設備、PHS用設備を指します。これらは、他社設備の借用でも管理規程が必要となります。

コア機能とは、交換機能、電気通信設備の交換機能、電気通信設備の運用・監視または保守に係る機能、通信の接続または認証に係る加入者管理機能を指します。これらは、他社設備の借用でも管理規程が必要となります。

社会的影響がある事業とは、100万人以上のユーザーを確保する事業などを指します。この場合、他社設備の借用でも管理規程が必要となります。

  

 

よしひろまごころ行政書士事務所では、全国対応で電気通信事業の登録や届出に関するお手続きを代行・サポートしています。

お気軽にお問合せください。