電気通信事業の届出や登録、電気通信番号使用計画に必要な「ネットワーク構成図」の書き方

電気通信事業の届出や登録、電気通信番号使用計画認定などの手続きを行う場合、どの手続きでも提出を求められるのが「ネットワーク構成図」です。

 

ネットワーク構成図は、ネットワーク(電気通信回線及び、その設備)のさまざまな構成要素とそれらの相互関係を示すもので、登録または届出の手続きの際に、コンピュータネットワークや電気通信ネットワークを視覚的に説明するために使用されます。

 

構成図では、ネットワーク上の情報の流れや機器の相互通信関係を示します。これには、サブネット、ネットワークデバイス、ルーティングプロトコルなどを含みます。

 

ただし、ネットワーク構成図には、統一された作図ルールや作成手法は存在しません。

会社や組織、担当者ごとに、行う電気通信役務(サービス)の種類に応じて、さまざまな書き方で作成することができます。

このように、ネットワーク構成図に記載する内容は目的によって大きく異なりますので、これが正解という書き方はないともいえます。

ただし、電気通信事業法や電波法に定められた規律に従ったネットワーク構成である必要があります。

 

ネットワーク構成図を作成する際は、次のようなポイントに注意する必要があります。

 

◎ネットワーク(電気通信サービス)の名称や方式名を記載する

 

◎交換・集線センターなどと接続する回線の概要を記載する

 ※交換・集線センターなどが多数ある場合は、都道府県ごとのそれぞれの総数を記載します。

 ※物理的な配線と論理的な構成である、LANやルータなどのIPネットワーク、OSPFやRIPなどのルーティングプロトコル(交信負荷や回線の故障を補うための、重複した経路)の情報なども、可能な範囲で記載します。

 

◎他人間と、媒介する申請者の関係性を、図で明確に示す

 ※利用者は「ユーザー」という表記が可能です。

 ※他人(Aとします)と他人(Bとします)の電気通信回線の流れと、それを媒介する申請者の関係性を明確に示す必要があります。

 

◎電気通信回線の流れや、利用料金の請求や支払いの流れを記載する

 ※インターネット網などは「クラウド(雲)」の形で表現します。

 

◎使用する電気通信回線が自ら設置する回線か、借り受ける回線か(再販)を記載する

 ※他の電気通信事業者(卸元事業者)から借り受けたネットワークを利用者へ提供することを「再販」といいます(「電気通信役務の内容」と「電気通信番号の使用に必要となる電気通信設備の構成図」が卸元事業者のものと同じ場合は「単純再販」といいます)。
  再販の場合は、電気通信回線の調達先を記載する必要があります。

 ※他者からIRU(Indefeasible Right of User:破棄し得ない契約や協定による長期的・安定的な線路設備の使用権)で調達する設備などがある場合は、構成の概要(契約内容、光ファイバー等の区間全体や複数心線(たとえば100心)の一部(たとえば20心)が自前回線である、などを記載します。

 

◎AまたはB、あるいは他の電気通信事業者が持つ回線とどこで接続するか、責任範囲を分けている場所を図で明確に示す(責任分界点)

  ネットワーク構成図には、電気通信役務(サービス)の卸提供(卸役務を行う事業者(卸元事業者)から、最終利用者までのネットワークの流れを示す必要があります。申請者が他の電気通信事業者へ電気通信サービスを提供し、他の電気通信事業者がそのサービスを最終利用者へ提供(再販)する場合は「卸役務」を行う電気通信サービスとして図に示す必要があります。

 

◎AまたはBが特定の事業者である場合には、その事業者名を記載する

 ※不特定多数の場合は名称の記載が不要ですが、その数や、どのような事業者かを記載します。

 

◎利用者(AまたはBの発信者または受信者)が、どのような端末を使用するかを記載する

 

◎サーバの設置事業者名を記載する

 

◎サーバの設置台数(サーバをレンタルする場合は借入先)を記載する

 

◎電気通信設備や基地局を設置する場合は、その数と、どのような区域に設置するかを記載する

 

◎電気通信番号(電話番号)を使用する場合は、その種別(たとえば「固定電話番号」)を示す

 ※固定電話番号の転送サービスなど、特定設備の設置が電気通信番号を使う条件とされている場合には、その設備を設置する市町村名や、転送設備と利用者の端末設備などが同一番号区域内かどうかを記載する必要があります。

 

◎この電気通信事業で、どのようなサービスを提供するかを記載する

 ※たとえば、次のようなサービスごとに作成する必要があります。

 ・MVNO(移動通信事業者のサービスの再版)

 ・マンションインターネットサービス

 ・固定電話転送サービスの再販、電話番号の再販

 ・FAX転送サービス

 ・LPWAサービスの再販

 ・インターネット関連サービス全般(電子メールマガジンやコンテンツの媒介(加工・編集なし)、クローズドチャット、ホスティング(電子メール運営)、出会い系サイト、レンタルサーバの設置によるインターネットサービスなど)

 

上記のポイントに注意しつつ、分かりやすいネットワーク構成図となるように作成しましょう。

ネットワーク構成図には、電気通信役務(サービス)の種類や目的に応じ、詳細を多数盛り込むことも、全体的な概観のみを記載することも可能です。

 

 

よしひろまごころ行政書士事務所では、全国対応で電気通信事業の届出や登録、電気通信番号使用計画の認定などに関するお手続きを代行・サポートしています。お気軽にお問合せください。