固定電話番号について転送サービスを提供する電気通信事業者は、事業を始める前に「電気通信番号使用計画の認定申請」を行って認定を受ける必要がありますが、認定を受けるための条件の一つに「特定総合品質又はこれと同程度の音声伝送に関する品質を満たしていることの確認が行われていること」があります。
固定電話番号を使用する電話転送サービスの場合、利用者の側は固定電話番号に電話をかけて(高水準の通話品質を期待して)通話料金を負担しているにも関わらず、実際は転送されていることで低水準の通話品質しか確保されないなどの不利益が生じるケースが想定されます。
そのため、固定電話番号による電話転送の場合は、その通話品質が050IP電話の品質(特定総合品質)またはそれと同程度の音声伝送に関する品質の基準を満たしていることを確認できるよう、予め必要な措置を講じなければなりません。
次の基準を満たす必要があります。
・端末設備等相互間平均遅延が400ms未満(当該値を算出できる確率が0.95以上)であること
・R値が50を超える値であること
上記の通信品質確認に対する主な措置は、次の通りです。
①回線品質について、予め特定総合品質の基準値を満たしていることを実測する
②サービス提供中も常時品質を実測の形態と同等以上の形態で監視し、基準値に近づいた場合は通知音を挿入する、または一時的にサービス提供を中止するなどの措置を講じる
①の実測については、サンプル調査の結果が基準を上回っていることだけでは不十分です。
この場合における実測は「TTC(情報通信技術委員会)標準」に基づき、次の形態が確保されていることが必要です。
◎測定日時:呼数と呼量の多い日順に30日を選定
次のような選定方法があります。
・(呼数と呼量で日が一致せず30日に満たない場合)より品質劣化が見込まれる日から30日を選定
・(事後決定の場合)24時間365日計測後に、30日を選定
・(事前決定の場合)前年度のトラヒックデータを精査し、選んだ理由、決定日が報告年度トラヒックデータと著しく異ならない旨を報告
◎測定箇所(測定区間):最も一般的な転送区間に設置した端末との間
ネットワークや接続遅延に係る品質は距離の影響を受けるため、サービスエリア内の最遠系で測定します。
UNI-UNI区間は対象ですが、アクセス区間は対象外です。
◎測定事項:端末設備相互間平均遅延、R値
次の項目ごとに、測定方法があります。
・呼損率:パッシブ(CDR等のサーバログによる全呼測定)が基本ですが、適正な測定が困難な場合は、アクティブ(試験呼による測定)も可能です。
・接続遅延:SIPメッセージシーケンス(呼び出しのINVITEから、180Ringing応答まで)を測定します。
※着信側端末の応答遅延(呼設定メッセージ受信後から応答メッセージ送出完了まで)も含められます。また、RBT検出までの時間を測る方法も可能です。
・R値(音声品質の評価値):「TTC(情報通信技術委員会)標準」に基づいた方法で測定します。数値が高いほど、良い品質です。
なお、転送区間に使用する電気通信設備が特定されていて、その事業用の電気通信設備の自己確認(電気通信番号を使用して音声伝送役務の提供の用に供するもの)が行われている場合には、そのことをもって特定総合品質を満たしているとみなすことができます。
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