電気通信設備の設置を行うにあたり、設備の所有者と「IRU契約」を結ぶ場合があります。
IRUとは、契約(協定)によって定められ、関係当事者の合意がない限り破棄や終了ができない、長期的で安定的な「線路設備」の使用権(破棄し得ない使用権)のことをいいます。
IRUによる「電気通信設備の設置」と認められるためには、IRUに係る契約(協定)により登録電気通信事業者が特定範囲の電気通信回線設備の使用権を取得して、対象となる特定の線路設備を継続的に支配、管理することが担保されていなければなりません。
裏を返せば、登録電気通信事業者は、電気通信事業法で電気通信回線設備を設置することを求められますが、設備にIRUを設定すれば、他者が持つ電気通信回線設備を自らの設備として設置することができます。
IRUによる設備の「設置」が認められるためには、次のような要件を満たす必要があります。
◎使用権を取得する登録電気通信事業者の同意なしに、契約を破棄することができないこと
安定的なサービス提供を確保するためには、登録電気通信事業者の同意がなければ契約を解除できないことを、契約書などに記す必要があります。
※登録電気通信事業者が債務不履行または契約違反を行い、一定期間を定め催告などをしても支払いしない、または契約違反を是正しない場合の、設備の所有者による契約解除を妨げるものではありません。
◎使用期間全体にわたる、合理的な使用料金の設定がされていること
契約途中で禁止的使用料金を設定することで、設備の継続的な支配、管理に支障をきたすことがないように提供料金面から担保する必要があります。
◎電気通信回線設備の所有者が、対象物件に第三者担保権が設定していないこと
この設備に第三者の担保権が設定された場合、担保権の実行により登録電気通信事業者の使用権が消滅するおそれがある設備は、登録電気通信事業者が安定的に支配、管理しているとはいえないためです。
◎電気通信回線設備の使用契約期間が、長期間(原則10年以上)であること
登録電気通信事業者が、この設備を長期にわたり、継続的に支配、管理できることを担保するためです。
◎設備の所有者の使用設備と、IRUを取得する登録電気通信事業者の使用設備は、明確に区別すること
つまり、IRUを設定した設備は設定した側ではなく、使用する登録電気通信事業者の運用範囲となります。
◎IRUが設定される電気通信回線設備の所有者は、登録電気通信事業者である必要はない
設備の所有者は、登録電気通信事業者にIRUを付与するのみであり、電気通信役務を提供しなくてもよいため、登録電気通信事業者である必要はありません。
たとえば、鉄道事業者、電力会社、CATV会社、地方自治体などの持つ電気通信設備についてIRU契約が締結される場合などです。
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