太陽光発電などの再エネ(再生可能エネルギー)を自社電源として小売電気事業を行う場合、次の点に注意する必要があります。
◎「全量売電」を行う場合、発電の出力が「高圧(50kW以上)」であること
発電出力が高圧の場合は、保管規定の届出、電気主任技術者の選任などが必要となります。
なお、発電出力が10〜50kWの太陽光発電設備は「低圧」に分類されますが、50kW未満の産業用の太陽光発電は、原則として「余剰売電」の対象となります。
※ソーラーシェアリングに限り「災害時に電源として使用できる」「10年間の一時転用が認められ得る」という条件付きで、全量売電が認められています。
◎太陽光発電などで供給できない時間等は「部分供給」を行う
太陽光発電や風力発電などの「再生可能エネルギー」は、夜間や天候などによる影響で電気が確保できないときがあるため、確保できる時間帯以外の電気の供給能力も必要になります。
供給能力を確保するためには「部分供給(複数の小売電気事業者から一需要場所に対し、各々の電気が物理的に区分されることなく、1引き込みを通じて一体として供給される形態)」の構築が必要です。
そのため、予め旧一般電気事業者などとの部分供給契約に向けた準備を進める必要があります。
◎供給能力は、気象予測に基づく出力想定値で算定する
太陽光発電などで供給能力を確保する場合、日射量予測データや天気予報などで地域ごとの出力比率を算出し、エリア全体をマクロで想定する必要があります。
◎インバランス料金のリスクが高くなる
再エネ電源の場合は天候等の影響を受けるため「インバランス料金」のリスクが高くなります。
対策としては、アグリゲーター(多地域の再エネ電源をまとめ、制御することで、電力需要パターンを変化させる特定卸供給事業者)による慣らし効果の活用などがあります。
◎供給能力の確保の見込みは適切かどうか
再エネ電源による小売電気事業の場合、需要家の方へ次のような説明を行う必要があります。
・「調整係数」で算出した供給能力を見込んでいる
・蓄電池を供用している
・バックアップ火力を確保している など
◎昼間に発電した電気を夜間に供給する電気とみなしたり、特定の時間帯に発電・調達した電気を別日の同じ時間帯に供給する電気とみなさないこと
みなしている場合、電気の供給実態と著しく乖離すること・時間帯で電気の価値が異なる点を無視していることから、問題となります。
ただし、再エネで発電した電気を蓄電池の使用で供給する場合は、異なる時点間で実際に電気の充電や放電が行われるため電力量が移転した、とする算定に問題はありません。
◎小売供給に係る電源構成と異なることに誤認を招かない表示を行う
「販売電力量の100%に『相当』する太陽光発電を行っている」などの表記は直ちには問題となりませんが、供給する電気に再エネ指定の「非化石証書」を使用していない場合は誤認を招くことになりかねませんので、ご注意ください。
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