卸電力取引市場からの調達で小売電気事業を行うための要件とは?

小売電気事業者の登録申請を行うためには、電力の供給能力を確保する方法を決める必要がありますが、その方法の1つに「卸電力取引市場」から調達する方法があります。

卸電力取引市場からの調達とは、通常は「日本卸電力取引所(JEPX)」から電力の卸を受ける場合を指します。

JEPXの会員になって電力の卸を受けるためには、次の会員要件を満たす必要があります。

 

【取引会員適格(取引会員規程 第2条)】

次のA~Cのいずれかに該当することが必要です(合意を示す契約書または覚書、メールのやり取りの記録などの提出が必要です。)。

A.一般送配電事業者との間で「接続供給契約」を締結している、または締結の予定が確定している(接続供給契約の契約者が複数の場合は、代表契約者に限る)

B.一般送配電事業者との間で「発電量調整供給契約」を締結している、または締結の予定が確定している(旧一般電気事業者は発電量調整供給契約に準ずるもので代替できる)

C.一般送配電事業者との間で「需要抑制量調整供給契約」を締結している、または締結の予定が確定している

 

【資産上の要件(取引会員規程 第3条)】

JEPXとの取引会員は、純資産額が1,000万円以上であることが必要です。

*純資産額とは資産合計額から負債合計額を控除した額とし、JEPXの規定で計算されます。

*1,000万円を下回ることとなった場合、取引を停止されます。ただし、6か月以内に1,000万円以上となったときは、取引を再開することができます。

 

【欠格事由(取引会員規程 第4条)】

次の各項目に該当する方は、JEPXの取引会員になることができません。

・破産者で復権を得ない方

・関係法令への重大な違反を行った方

・役員に暴力団員などが存在する方

・暴力団員などが事業活動を支配している方、その他の理由で信用がないと認められる方

・会社更生や民事再生などの途中の方、外国法令上これらと同様に取り扱いされている方

・禁錮以上の刑(相当する外国法令による刑を含む)に処せられて、その執行が終わった日、またはその執行猶予が終わった日から5年を経過するまでの方

・成年者と同一の能力を持たない未成年者、成年被後見人、または外国法令上これと同様に扱われている方

・JEPXまたは他の取引所から除名処分を受けた方

 

【禁止行為(取引規程 第10条)】

JEPXの取引会員となる方は、次の各行為をしてはならないと定められています。

・電気の実物取引を目的としない取引

・仮想の取引をする、または偽って自身の名を用いない取引

・他者と通謀した上、その他者との取引を成立させることを意図した取引

・単独または他人と共同して、取引が繁盛であると誤解させるような取引や、相場を変動させる取引

・相場が自身や他人の操作によって変動する旨の流布

・託送供給などや、約款に定める接続対象計画差対応電力料金単価など、JEPXの価格を参照する他の料金などを変動させることを目的とした取引

・相対取引や電力先物市場など、JEPX以外の電力に関連した取引での利益を得る目的で、JEPXの市場の相場を変動させるような取引

・公表前の発電所の事故情報など、JEPXの価格の形成に影響を及ぼすインサイダー情報に基づく取引

・不正な価格形成に係る取引

・JEPXの許諾を得ず、取引所関係業務を他者に委託する行為

 

【JEPXへの預託金(取引規程 第11条)】

取引会員は、取引会員ごとに定める額以上をJEPXに預託しなければならないとされています。

預託金がJEPXの定める期日までに行われない場合、取引を停止されます。ただし、一定期間以内に預託が完了すれば、取引を再開することが可能です。

 

 

よしひろまごころ行政書士事務所では、卸電力取引市場からの調達を供給能力として行う小売電気事業者の登録申請を、全国対応で代行・サポートしています。お気軽にお問合せください。