小売電気の需要と供給に関わる、発電事業の届出とは?

2016年の電力自由化に伴い、大手電力会社は発電・送配電・小売の3部門に分社化されましたが、新しく自らの発電用または蓄電用の電気工作物によって、小売電気事業・一般送配電事業・配電事業または特定送配電事業のために発電または放電する発電事業を始める事業者は、接続最大電力の合計が次の3つの基準に適合することについて「発電事業に係る届出(発電事業届出)」を行う必要があります。

 

・合計出力が1000kW以上であること

 

・出力の値に占める、託送契約上の同時最大受電電力(小売電気事業等が使用する電力)の値の割合が50%を超えること(出力が10万kWを超える場合は10%を超えるもの)

 

・発電または放電する電気の量(kWh)に占める、逆潮流量(小売電気事業等の用に供する電力量)が年間で50%を超えると見込まれること(出力が10万kWを超える場合は10%を超えるもの)

 

発電事業届出は、次のような「経済産業大臣からの供給命令等に責任を持って判断し、対処できる者」が行う必要があります。

①発電用または蓄電用の電気工作物の稼働や、発電または放電した電気の供給先などを判断する権限を有する事業者

 

②委託契約の場合、①の権限を委託されている事業者

 

③リース契約などの場合、①の権限を有している事業者(主体となっている事業者)

発電事業届出を行い発電事業者になった方には、次の義務が生じます。

 

◎一般送配電事業・配電事業のために提供するための電気(需給が不一致となる場合の調整や、離島の電気供給のための電気)を供給するための発電等の義務

 

◎広域機関への加入義務(広域機関へ加入したことを資源エネルギー庁へ届け出る義務)

※加入後は、広域機関の会員としての義務が生じます。

 

◎供給計画の届出義務(発電事業届出後に遅滞なく提出、事業開始後は毎年度の開始前に提出)

 

◎経済産業大臣からの供給命令に服する義務

 

◎発受電月報(翌々月15日まで)、電気保安年報(7月末日まで)、設備資金報(毎四半期の最終月末日から2か月を経過する日まで)の報告義務

 

◎各事業年度並びに勘定科目の分類及び貸借対照表、損益計算書その他の財務計算に関する諸表等の整理及び提出義務(事業年度経過後3か月以内)

 

◎届出した内容に変更が生じる場合の変更届出義務

次の提出期限に注意する必要があります。

・特定発電等用電気工作物の10万kW以上の出力減少に関わる変更・・・変更の9か月前まで

・特定発電等用電気工作物の、出力増加・10万kW未満の出力減少・設置場所・原動力の種類・周波数・容量の変更・・・変更の10日前まで

・代表者名・供給の相手方・連絡先などの変更・・・変更後、遅滞なく

 

◎事業の休止・廃止、法人の解散についての届出義務

次の提出期限に注意する必要があります。

・出力10万kW以上の発電事業者・・・休止(廃止)の9か月前まで

・出力10万kW未満の発電事業者・・・休止(廃止)の10日前まで

 

 

よしひろまごころ行政書士事務所では、全国対応で、小売電気事業者の登録申請、発電事業届出、アグリゲーターの特定卸供給事業届出などの電気事業に関する手続きを代行・サポートしています。お気軽にお問合せください。