医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器に関する許可申請に必要な責任者を配置する際の注意点とは?

薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)に基づく製造業または製造販売業の許可申請を行い、許可を取得するためには、その事業に関する責任者を配置しなければなりませんが、責任者を配置する際には次のようなことに注意する必要があります。

【製造販売業許可申請を行う場合】

◎販売元として取り扱う予定の種別(医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器のいずれか)に応じた、総括製造販売責任者を配置すること

 種別ごとに、総括製造販売責任者になれる資格や実務経験の要件があります。

 

◎許可を取得しようとする事業所に、品質保証責任者(医療機器の場合は国内品質業務運営責任者)を配置すること

 品質保証責任者(国内品質業務運営責任者)には、種別ごとで次のような資格要件があります。

 〈第1種医薬品、第2種医薬品、GMP対象医薬部外品、医療機器、体外診断用医薬品の製造販売業)

 ①品質保証部門の責任者になれる方(適任であれば、一従業員から選任も可)

 ②品質管理業務その他これに類する業務の従事経験3年以上

  「これに類する業務」とは、申請する種別の下記経験を指します。

  ・管理監督者

  ・管理責任者

  ・総括製造販売責任者

  ・製造販売業者または製造業者の製造管理または品質管理業務

  (第二種または第三種の医療機器製造販売業の場合) 

  ・ISO 9001またはISO 13485の認証事業者等の品質マネジメントシステムについて、継続的改善や維持に係る業務

 ③品質管理業務を適正かつ円滑に遂行できる能力を有する方

 ④医薬品等や医療機器の販売部門に属さず、品質管理業務の適正かつ円滑な遂行に支障を及ぼすおそれがない方

 〈上記以外の製造販売業)

 ①②を除く各要件

 

◎許可を取得しようとする事業所に、安全管理責任者を配置すること

 安全管理責任者には、種別ごとで次のような資格要件があります。

 〈第1種医薬品、第一種高度管理医療機器の製造販売業)

 ①安全管理統括部門の責任者になれる方(適任であれば、一従業員から選任も可)

 ②安全確保業務その他これに関する業務の従事経験3年以上

 ③安全確保業務を適正かつ円滑に遂行できる能力を有する方

 ④医薬品等や医療機器の販売に係る部門に属さず、安全確保業務の適正かつ円滑な遂行に支障を及ぼすおそれがない方

 〈上記以外の製造販売業)

 ①②を除く各要件

【製造業許可申請を行う場合】

◎製造しようとする種別(医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器のいずれか)に応じた、製造管理者(責任技術者)を配置すること

 製造管理者(責任技術者)には、次のような資格要件があります。

 

 〈医薬品、体外診断用医薬品の製造業〉

 ・薬剤師

  ※生薬の粉末や刻み加工を行う医薬品、医療用ガスを取り扱う場合は別の要件があります。

 

 〈医薬部外品の製造業〉※次のいずれか

 A.薬剤師

 B.大学等の薬学または化学関連の専門課程修了者

 C.高校以上の学校の薬学または化学関連の専門課程修了後、医薬品または医薬部外品の製造関連の従事経験3年以上

 

 〈化粧品の製造業〉※次のいずれか

 A.薬剤師

 B.高校以上の学校の薬学または化学関連の専門課程修了者

 C.高校以上の学校の薬学または化学関連の科目修得後、医薬品、医薬部外品、化粧品のいずれかの製造関連の従事経験3年以上

 

 〈高度管理医療機器または管理医療機器の製造業〉※次のいずれか

 A.大学等の物理学、化学、生物学、工学、情報学、金属学、電気学、機械学、薬学、医学、歯学関連の専門課程修了者

 B.高校以上の学校の物理学・化学・生物学・工学・情報学・金属学・電気学・機械学・薬学・医学・歯学関連の専門課程修了後、医療機器製造関連の従事経験3年以上

 C.医療機器の製造関連業務に5年以上従事後、登録機関が行う講習を修了した者

 

 〈一般医療機器のみの製造業〉

 A.高校以上の学校の物理学・化学・生物学・工学・情報学・金属学・電気学・機械学・薬学・医学・歯学関連の専門課程修了者

 B.高校以上の学校の物理学・化学・生物学・工学・情報学・金属学・電気学・機械学・薬学・医学・歯学関連の科目修得後、医療機器製造関連の従事経験3年以上


【医薬品店舗販売業許可申請を行う場合】

◎許可を取得しようとする店舗に、管理者として薬剤師または登録販売者を配置すること

 管理者は、販売または授与する営業時間内は、その店舗内に常勤する必要があります。外出などで不在の時は販売や授与ができないため、医薬品陳列棚または交付する場所を閉鎖しなければなりません(インターネット販売の場合、不在時は広告表示のみが可能で取引はできません)。

 登録販売者を管理者とする場合、その登録販売者は実務経験(期間)などの要件を満たす必要があります。

【医薬品卸売業許可申請を行う場合】

◎許可を取得しようとする営業所に、管理者として薬剤師を配置すること(登録販売者は不可)

 管理者は原則として営業所に常勤し、構造設備及び医薬品その他の物品の管理を行う必要があります。

 なお、指定卸売医療用ガス類または指定卸売歯科用医薬品を取り扱う場合に限り、薬剤師ではない資格者要件があります。


【医療機器販売業・貸与業許可申請を行う場合】

◎許可を取得しようとする営業所に、実務経験年数を満たす基礎講習修了者を管理者として配置すること

 この許可は、高度管理医療機器または特定保守管理医療機器を取り扱う場合に必要です。

 なお、特定管理医療機器を取り扱う場合は「届出」ですが、営業所管理者の配置は必要です。

 指定を受けた家庭用管理医療機器(家庭用電気マッサージ器や家庭用創傷パッドなど、28品目)も「届出」が必要ですが、営業所管理者の配置は不要です(一般医療機器は、手続きも不要です)。

【各許可共通の注意点】

◎申請者(申請者が法人であるときは、薬事に関する業務に責任を有する役員も含む)が、欠格条項に該当しないこと

 

◎各責任者(管理者)は、許可を取得しようとする事業所に常勤すること

 責任者は、正社員やパート、契約社員などでの雇用または役員として、許可を取得する事業所に常勤する必要があります。

 

◎複数の責任者の兼務を考えている場合は、同一の施設または所在地であることや、兼務が可能な許可かどうかなどを予め確認すること

 各責任者が兼務できる範囲は、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器の種別や、製造業や製造販売業の区分などで細かく定められています。

 医薬品の卸売業や店舗販売業、医療機器販売業の管理者などと兼務できる場合もありますが、製造管理者または責任技術者とは同一の施設や所在地であっても兼務できないなどの定めがありますので、ご注意ください(包装・表示・保管業務の製造業は、兼務できる場合があります)。


以上が主な注意点ですが、許可申請を行う拠点の地域を管轄する申請先により、少し要件が異なる場合があります。まずは申請先へ、許可申請の要件や必要書類などを確認することをおすすめします。

 

 

よしひろまごころ行政書士事務所では、許可の取得をご希望される種別(医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器)や、区分(卸売業、店舗販売業、製造業、製造販売業など)に応じたお手続きを代行・サポートしています。お気軽にお問合せください。