建設業許可に必要な「営業所専任技術者」になるための要件とは?

営業所専任技術者は、建設業許可を取得するための要件の1つであり、「経営業務管理責任者」とともに建設業許可の申請前に選任しておく必要がある、建設業を行う営業所での請負契約の適正な締結、履行などに関する専門的な知識者のことを指します。

経営業務管理責任者が営業所専任技術者を兼任することも可能ですが、営業所専任技術者としては、次のような要件を満たす必要があります。

 

◎営業所専任技術者は、建設業を行う営業所にて、請負契約の内容を技術的観点から確認し適正な契約締結及び履行確保を担うこと

 営業所専任技術者は上記のような業務を担うため、工事の種類などに応じて、次のA~Dいずれかの要件を満たす必要があります。

 A.許可を受けようとする建設業に関する、一定の国家資格を持っている方

 B許可を受けようとする建設業に関して、常勤で10年以上の実務経験を持つ方

 C大学、または専門学校の専門士(または高度専門士)として、指定学科を修了して卒業後に3年以上の実務経験を持つ方

 D高等・専門学校の指定学科を修了して卒業後、5年以上の実務経験を持つ方

 ※この「実務経験」とは、現場監督、現場主任、現場技術者、工事部長等としての経験です。従事した会社から「実務経験証明書」を取得する必要があります。

 ※特定建設業(建設工事1件につき5,000万円以上(建築工事業(建築一式工事)は8,000万円以上)の工事を下請けに出すことができる建設業)の許可を受けようとする場合は、営業所専任技術者等について上記とは別の要件があります。

 

営業所専任技術者は、営業所ごとに1人以上が常勤すること

 見積、入札、請負契約締結等の建設業に関する営業は各営業所で行われるため、原則は営業所ごとに常勤できる方を選任する必要があります。
 営業所専任技術者は常勤性があれば雇用の仕方は問われませんので、正規雇用ではない契約社員等の方が専任技術者になることも可能です。

 1日の勤務時間が短い方や、週当たりの勤務日数が少ない方は、専任技術者になることができません。

 ただし、ICTの活用によって営業所等で職務を行う場合と同等の職務ができ、所定の時間中に常時連絡を取れる環境でテレワークを行う場合には、常勤とみなすことができます。

 なお、専任技術者が退職などによって交代する場合、専任技術者の在籍期間に1日でも交代による空白があることは認められません。

 在籍期間に空白期間がある場合は建設業許可の取消し対象等になりますので、ご注意ください。

 

◎営業所専任技術者は営業所に常駐し、原則的には工事現場に出ないこと

 営業所専任技術者は、原則的には工事現場に出ないことと定められています。

 しかし、一人取締役会社などで、社長、営業所専任技術者、現場作業を一人で行う等の場合、工事現場に出られないと困ることになります。

 そのような場合は次の全ての要件を充たすことで、例外的に工事現場に出ることが認められています。

 ・工事現場の職務に従事しながら実質的に営業所の職務にも従事しうる程度に、工事現場と営業所が近接していること

 工事現場と営業所との間で常時連絡をとりうる体制であること

 ・(特定建設業許可の場合)営業所技術者(特定営業所技術者)は、監理技術者と同等の要件を満たすこと

 ・(一般建設業許可の場合)営業所技術者は、主任技術者と同等の要件を満たすこと

 

 以上の要件を満たす場合、特定営業所技術者は主任技術者または監理技術者の職務を、営業所技術者は主任技術者の職務を兼ねることで、工事現場に出ることができます。

 

なお、営業所専任技術者は欠格要件などに該当しないこと、暴力団の構成員でないことも求められます。

 

 

よしひろまごころ行政書士事務所では、建設業許可に関するお手続きをサポートしています。お気軽にお問合せください。