公正証書遺言のメリットと、作成する方法とは?

「公正証書遺言」とは、遺言者ご本人が自筆で書く「自筆証書遺言」と異なり、遺言者ご本人が遺言の内容を口述し、公証人が作成する遺言書のことをいいます。

公正証書遺言には、次のようなメリットがあります。

〈遺言者の自書が不要である〉

 

財産目録以外は全文を自ら手書きしなければならない「自筆証書遺言」と違って公証人に作成してもらうため、遺言者は署名のみをするだけで足ります。

もし、遺言者が署名できない場合でも、公証人が遺言公正証書に「病気のため」などと理由を付記し職印を押捺することで、遺言者の署名に代えることができます。公証実務では、この付記をした上で公証人が遺言者の氏名を代署し、その代署した氏名のそばに、遺言者に押印してもらうことが行われています。遺言者が押印できない場合でも、公証人が面前で遺言者の代わりに押印することもできます。

〈正しい遺言書を、公証役場で安全に保管してもらえる〉

公正証書遺言は原本及びPDFデータが必ず公証役場に保管されるため紛失のおそれはなく、遺言書が破棄されたり、隠匿や改ざんをされたりするおそれが全くありません。また、遺言者が遺言として残したい内容を公証人が法律に適合した文面で作成しますので、記載方式の不備で遺言が無効になるおそれもありません。


〈遺言書の検認手続きが不要になる〉

公正証書遺言は、原本を公証役場で保管することで証拠保全されるので、家庭裁判所への「検認の申立て」が不要です。そのため、検認に必要な書類を用意する手間や手数料もかかりません。

〈公証人に出張してきてもらって作成することもできる〉

遺言者が病気など何らかの事情で公証役場に出向くことが困難な場合、遺言者のご自宅や老人ホーム、介護施設、病院などへ公証人が出張し、公正証書遺言を作成できる場合があります。ただし、公証役場によっては難しい場合もあるため、事前に確認する必要があります。


【公正証書遺言の作成の流れ】

公正証書遺言の作成の手順は、具体的には次のように行います。

 

①公正証書遺言の素案を考える

 遺言書の書き方については、遺言者やそのご親族などが公証役場に電話やメールをして相談などをすることが可能です。

 当事務所でも、公正証書遺言の作成についてサポートいたします。

 

②相続内容のメモや必要資料を提出する

 相談や遺言書の作成に当たっては、相続財産の内容、相続する相手の名前や相続する割合などを示すため、メモや必要資料をご用意ください。

 当事務所でも、それらを元に公正証書遺言の作成をサポートいたします。

 

③遺言公正証書(案)を作成し、遺言者の希望に沿って修正を行う

 公証人が作成した遺言公正証書(案)はメールなどで提示されるため、遺言者は公証役場に行く前に遺言書の記載内容の確認ができます。

 内容を確認後に遺言公正証書を完成させる日時を決め、その日時に遺言者が公証役場へ訪問、または遺言者のもとへ公証人に出張してもらうことになります。

 

④公証役場への訪問または公証人の出張により、遺言者が署名などをして遺言公正証書を完成させる

 遺言公正証書を完成させる際は、遺言者が証人2人の前で、公証人から遺言の内容を口頭で確認されます。これによって判断能力を有する遺言者の真意であることを公証人が確認し、遺言内容に間違いがないことも確認できた上で、遺言者と証人2名が遺言公正証書の原本に署名し、押印します。

 公証人も遺言公正証書の原本に署名し職印を押捺することにより、遺言公正証書が完成します。

 この確認と押印に際しては遺言者がご自身の真意を任意に述べることができるよう、利害関係人に席を外していただく必要があります。

よしひろまごころ行政書士事務所では、遺言書の作成や相続財産の調査、遺産分割協議書の作成、その他相続に関するご相談などを承ります。

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