相続とは、相続人が被相続人(亡くなった方)から財産を引き継ぐことをいいます。
相続の手続きには、法定相続人(法律上で相続することが決まっている配偶者や血族(子や孫など))へ遺産を引き継ぐ「相続」と、遺言書などに沿って法定相続人以外の方へ遺産を引き継ぐ「遺贈」などがあります。
相続を考える際は、次のことなどに注意する必要があります。
【相続財産の内容に注意!】
相続財産とは、経済的価値があるすべてのものを指します。それは、現金や不動産などのプラスの財産だけでなく、借入金などのマイナスの財産も含まれます。具体的には、次のような財産です。
〈プラスの財産〉
現金、預貯金、有価証券(株式、小切手など)、不動産、不動産上の権利(借地権・地上権など)、動産(自動車・貴金属など)、ゴルフ会員権、リゾート会員権 など
非課税の財産としては、墓や仏壇、仏具、寄付財産、非課税限度額内で相続人が受け取る生命保険金・死亡退職金などがあります。
〈マイナスの財産〉
被相続人に係る借入金、ローン、未払金、葬儀費用 など
相続財産ではなく被相続人の死亡をきっかけとして受け取る財産として、生命保険金(死亡保険金)や死亡退職金などの「みなし相続財産」もあります。
みなし相続財産は、相続税が課税されるのか、非課税(500万円×法定相続人人数以内の金額の場合)なのか、判断が難しいものがあります。
被相続人に不動産の所有がある場合は、権利証(登記識別情報通知)や、名寄帳(不動産所有者ごとの固定資産課税台帳(固定資産税の課税明細書と同じ内容))を確認することをおすすめします。
名寄帳は、市区町村役場などの自治体へ請求できます。名寄帳を請求できる人は、次のいずれかです。
A.固定資産税の納税義務者(不動産所有者個人。本人確認書類が必要)
B.納税義務者が死亡している場合、その相続人(戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本または法定相続情報一覧図の提出が必要)
C.借地人や借家人などの利害関係人(賃貸借契約書などが必要)
D.代理人(AまたはBの委任状が必要)
【相続を受ける方が誰になるのかに注意!】
被相続人の財産を相続できる方は、遺言書があるかどうかなどによって異なります。具体的には、主に次のような方です。
〈遺言書がある場合〉
・遺言書に「相続させる」と書かれた相続人
・遺言書に「遺贈する」と書かれた受遺者
・遺言書に書かれた承継相手(会社の後継者へ株式を承継する場合など)、寄付の相手
ただし〈遺言書がない場合〉に記載の第1順位・第2順位の方は、「遺留分の請求」を行った場合、民法で定められた最低限の相続分を取得することができます(法定相続分の半分の割合)。
〈遺言書がない場合〉
下記の法定相続人が民法で定められた下記の相続割合(法定相続分)を元に遺産分割協議を行います。
・第1順位:子どもまたは代襲相続人(相続財産の1/2÷人数)
※配偶者は相続財産の1/2
・第2順位:両親または祖父母(相続財産の1/3÷人数)
※配偶者は相続財産の2/3
・第3順位:兄弟姉妹(相続財産の1/4÷人数)
※配偶者は相続財産の3/4
法定相続分は上記割合の通りですが、法定相続人全員の同意により割合を変えることができます。
ただし、被相続人に献身的な介護を行い、被相続人の財産の維持・増加に特別の寄与をした相続人には「寄与分」の権利もあります。
遺産分割協議を行う場合、相続人の範囲を正しく把握するため、次の戸籍謄本を取得したほうが安心です。
◎被相続人の出生から死亡まで連続した戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍謄本を含む)
◎相続人全員の現在の戸籍謄本
法務局で取得できる「法定相続情報一覧図」であれば、戸籍謄本の代わりとすることができます。
また「相続関係説明図」を提出すれば、取得した財産の名義変更や解約手続きの際に戸籍謄本の原本還付を受けられるメリットがあります。
「相続関係説明図」などの作成は、遺産分割協議と並行して行われることが多いです。
遺産分割協議を行うためには、戸籍謄本を取得しておけば、相続人全員の存在を確認することができます。
本人に関する戸籍謄本は、令和6年3月改正により、本籍地以外の市区町村の窓口でも請求できるようになりました(広域交付)。本籍地が遠くにある方でも、お住まいや勤務先の最寄りの市区町村役場で請求することができます。
ただし、最寄りの市区町村役場で取得できる戸籍は、本人、配偶者、直系尊属(父母、祖父母など)、直系卑属(子、孫など)に限られます。
兄弟姉妹やおじ、おばの戸籍謄本等は広域交付制度で請求できないため、従来通り本籍地の市区町村役場で取得しなければなりません。
その点、遺言書があれば予め遺言によって相続する方が指定されていますので、それらの戸籍謄本が無くても相続手続きが可能です。
相続手続きには提出期限が決まっているものがありますので、相続人になる方や遺言執行者になる方(多くの場合、遺言者が遺言書において指定します)は、期限などに注意して進める必要があります。また、土地や建物の相続登記をはじめ、相続に係る費用も把握する必要があります。
よしひろまごころ行政書士事務所では、遺言書の作成や相続財産の調査、遺産分割協議書の作成、その他相続に関するご相談などを承ります。
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