農地の売買や貸し借りを行うために必要な農地法第3条の許可要件とは?

農地の耕作を目的とした売買や贈与、貸し借りなどを行おうとする場合には、農地法第3条に基づく許可が必要となります。

農地法第3条の許可申請をするためには、次のすべての要件を満たす必要があります。

令和5年度の農地法改正によって、農業従事者以外の方が家庭菜園などを目的に農地を取得できるようになりました。ただし、所有者は農地を適切に管理する責任があり、農地の売買、貸し借り、転用などを行おうとする際には農業委員会の許可を得る必要があります。

 

【全部効率利用要件】

申請する農地を含め、農地の権利を取得する方やその世帯員などが所有または借りている、すべての農地を効率的に耕作できることが求められます。農地を貸していたり(転貸借は認められません)、遊休農地化している場合は許可を受けられない可能性があります。

 

次のようなことを申請書に記す必要があります。

 

・世帯員などの労働力

 世帯員とは、住居や生計を一緒にする親族と、その親族の農業や養畜の事業に従事される2親等内の親族の方(その配偶者も含む)を指します。また、雇用による人数や、今後確保すると見込まれる人数も記載します。

 

・農業用機械の所有状況

 すでに所有している機械だけではなく、リース契約で確保されているものや、今後確保すると見込まれるものも記載します。

 

・農業の技術や経験

 農地の権利を取得する方やその世帯員の方が有する技術や経験のほか、申請する農地の農作業に従事する、すべての方の有する技術を記載します。農作業の一部を外部に委託する場合は、委託先の農作業に関する技術も記載します。

 

・通作距離

 農地の権利を取得する方が、個人の場合は住所などから農地までの距離、法人の場合は事務所等から農地までの距離が、それぞれ20キロメートル以内であることを記載します。もし、20キロメートルを超える場合は、労働力の確保の状況など、効率的な農地利用が可能だと認められなければなりません。

 

・(法人の場合)農地所有適格法人であること

 法人が農地を所有するためには農地所有適格法人でなければなりませんが、それ以外の法人でも、解除条件付き貸借で農地を借りることはできます。

 

 

【農作業常時従事要件】

申請者または世帯員など(法人の場合は、その法人が行う農作業に従事する構成員)が、農作業に常時(原則、年間150日以上)従事することを求められます。ただし、年間150日以下の農作業でも十分に耕作できるなどの場合、年間150日を下回っていても要件を満たしていると認められることがあります。

 

なお、農地所有適格法人の場合は、次の2つの要件を満たす必要があります。

 

・役員の過半数が、その法人に常時従事(原則として年間150日以上)する構成員であること

 

・役員または重要な使用人(農場長など)のうち1人以上が、農作業に年間60日以上従事すること

 

 

【地域との調和要件】

申請を行う農地を取得することで、周辺の農地に対し、農地の集団化や農作業の効率化、その他農業上の効率的かつ総合的な利用の確保に支障を生じさせる恐れがある場合には、許可を受けることができません。

たとえば、次のような場合です。

 

・水利調整に参加しない

 

・無農薬栽培の取組が行われている地域で農薬を使用する

 

・特定の品目を生産している地域で、その品目に係る共同防除等営農活動に支障が生じる恐れがある

 

・地域の実勢の借賃に比べて極端に高額な契約が締結され、周辺農地の一般的な借賃の著しい引き上げをもたらす恐れがある

なお、農用地区域に位置する農地は原則として転用はできませんし、相続も含め、一度取得すると手放すことが難しい農地もありますので、農地を取得する際は、予め農業委員会などに確認や相談をしておくことをおすすめします。

 

 

よしひろまごころ行政書士事務所では、農地の売買や農地転用などに必要な、農地法に関するお手続きをサポートしています。

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