特定技能の在留資格は、国内で人材を確保することが困難な状況の産業分野について一定の専門性・技能を有する外国人を受け入れることを目的とし、2019年4月から受入れ制度が開始されました。
特定技能の在留資格には、次のような特徴があります。
◎定められた「特定産業分野」の範囲の業務に限り、従事(雇用)ができること
この「特定産業分野」とは、次のような業務範囲です。
①介護分野(訪問系サービスを除く。特定技能2号は不可)
※申請者は、介護技能評価試験、国際交流基金日本語基礎テストまたは日本語能力試験、介護日本語評価試験の合格などが必要です。
②ビルクリーニング分野
※申請者は、ビルクリーニング分野特定技能1号評価試験、国際交流基金日本語基礎テストまたは日本語能力試験の合格などが必要です。
③工業製品製造業分野(旧 素形材・産業機械・電気電子情報関連産業分野)
※申請者は、製造分野特定技能1号評価試験、国際交流基金日本語基礎テストまたは日本語能力試験の合格などが必要です。
④建設分野
※申請者は、建設分野特定技能1号評価試験など、国際交流基金日本語基礎テストまたは日本語能力試験の合格などが必要です。
⑤造船・舶用工業分野
※申請者は、造船・舶用工業分野特定技能1号試験など、国際交流基金日本語基礎テストまたは日本語能力試験の合格などが必要です。
⑥自動車整備分野
※申請者は、自動車整備分野特定技能評価試験など、国際交流基金日本語基礎テストまたは日本語能力試験の合格などが必要です。
⑦航空分野
※申請者は、特定技能評価試験(航空分野:空港グランドハンドリング、航空機整備)、国際交流基金日本語基礎テストまたは日本語能力試験の合格などが必要です。
⑧宿泊分野
※申請者は、宿泊業技能測定試験、国際交流基金日本語基礎テストまたは日本語能力試験の合格などが必要です。
⑨自動車運送業分野
※申請者は、自動車運送業分野特定技能1号評価試験、国際交流基金日本語基礎テストまたは日本語能力試験の合格などが必要です。
⑩鉄道分野
※申請者は、鉄道分野分野特定技能1号評価試験、国際交流基金日本語基礎テストまたは日本語能力試験の合格などが必要です。
⑪農業分野
※申請者は、農業技能測定試験(耕種農業全般、畜産農業全般)、国際交流基金日本語基礎テストまたは日本語能力試験の合格などが必要です。
⑫漁業分野
※申請者は、漁業技能測定試験(漁業、養殖業)、国際交流基金日本語基礎テストまたは日本語能力試験の合格などが必要です。
⑬飲食料品製造業分野
※申請者は、飲食料品製造業特定技能1号技能測定試験、国際交流基金日本語基礎テストまたは日本語能力試験の合格などが必要です。
⑭外食業分野
※申請者は、外食業特定技能1号技能測定試験、国際交流基金日本語基礎テストまたは日本語能力試験の合格などが必要です。
⑮林業分野
※申請者は、林業技能測定試験、国際交流基金日本語基礎テストまたは日本語能力試験の合格などが必要です。
⑯木材産業分野
※申請者は、木材産業特定技能1号測定試験、国際交流基金日本語基礎テストまたは日本語能力試験の合格などが必要です。
◎家族の帯同は、2号は要件を満たせば配偶者や子の帯同が可能だが、1号は基本的に認められないこと
◎在留期間が、1号は更新しても通算で上限5年まで、2号は更新すれば上限なしであること
◎特定技能1号は、技能実習2号を修了した方も取得する手続きができること
特定技能の在留資格について申請しようとする場合、次の要件を満たす必要があります。
【外国人の方の要件】
◎18歳以上であること
◎健康状態が良好であること
◎技能水準が、分野ごとの試験合格他の評価方法で証明されること
※試験その他の評価方法は、特定産業分野に係る分野別運用方針及び分野別運用要領で定められています。
※技能実習2号を修了した方が特定技能1号に移行する場合、試験等は免除されます。
◎特定技能1号の日本語能力水準が、生活や業務に必要な日本語能力試験の合格他の評価方法で証明されること
※試験他の評価方法は、特定産業分野に係る分野別運用方針及び分野別運用要領で定められています(国際交流基金日本語基礎テストや、日本語能力試験(N4以上)などです)。
※日本語能力は、2号を申請する際は確認されません。また、同じ職種の技能実習2号修了者が特定技能1号に移行する場合、試験等は免除されます(異なる職種の場合は、確認が必要です)。
◎特定技能所属機関との雇用契約があること
※農業分野と漁業分野に限り、特定技能外国人の方の派遣が認められています。
◎報酬額が、日本人の方が従事する場合の報酬額と同等以上であること
◎一時帰国を希望した場合、休暇を取得させること
◎報酬・福利厚生施設の利用などの待遇で、差別的な取扱いをしないこと
◎自らが負担する費用がある場合、その内容を十分に理解していること
◎本国から海外に渡航して労働を行う場合の本国での許可など、本国で必要な手続きを遵守していること(二国間取決めで「遵守すべき手続き」が定められた場合など)
◎特定技能1号を申請する外国人の方は、受入れ企業(特定技能所属機関)又は登録支援機関による支援を受けること
※受入れ企業と特定技能ビザの申請者は、申請の前に雇用契約に関する書類を用意しておく必要があります。
※登録支援機関と特定技能所属機関は、申請の前に分野ごとの基準に適合する必要があります。
◎(すでに日本に在留している方の場合)入管法に定められた届出の義務や、住民税や年金保険料・社会保険料の納付などの公的義務を履行していること
※納税緩和措置(換価の猶予、納税の猶予又は納付受託)の適用を受けている場合を除きます。
◎(すでに日本に在留している方の場合)素行が不良でないこと
※具体的には、退去強制事由に準ずるような刑事処分を受ける行為、不法就労をあっせんするなど出入国在留管理行政上看過できない行為などです。
◎(すでに日本に在留している方の場合)特定技能による在留の必要性があること
必要性(相当の理由)があるとは認められないと判断される具体的な例は、次のような場合です。
・退学・除籍留学生の方
・失踪した技能実習生の方
・短期滞在ビザの方
・技能実習ビザでの技能実習の途中の方
・研修ビザでの研修途中の方
・特定活動ビザで必要な活動が途中の方
・経営・管理ビザで必要な活動が途中の方
【受入れ企業(特定技能所属機関)の要件】
◎特定産業分野の職種を要する事業者であること
特定技能外国人の方の雇用契約の内容や条件を変更する際は、変更届を提出する必要があります。ただし、業務区分の変更が分野の変更を伴う場合や、特定技能所属機関自体を変更する場合は「在留資格変更許可申請」が必要になりますので、ご注意ください。
◎特定技能外国人支援計画の適正な実施ができること
特定技能1号の受入れ企業は、特定技能外国人支援計画を作成し、その計画に沿って特定技能外国人の方の支援を行う必要があります(登録支援機関と契約し届出することで、登録支援機関へ特定技能外国人の方の支援を委託することも可能です)。
特定技能2号については、支援する義務がありません。
支援計画の適正な実施ができることは、主に、次のいずれかによって証明します。
A.過去2年間に就労系ビザの外国人の方の受入れ又は管理を適正に行った実績があり、役職員の中から、支援計画の中立な実施を行うことができる(外国人を監督する立場にない)支援責任者及び支援担当者(兼任可)を事業所ごとに選任していること
B.役職員の中で過去2年間に就労系ビザの外国人の方の生活相談業務に従事した経験を有する方を、Aと同様の支援責任者及び支援担当者(兼任可)として事業所ごとに選任していること
※他に「同程度に支援業務を適正に実施できると出入国在留管理庁長官が認めるもの」という例外もありますが、基本的にはA・Bのいずれかである必要があります。
◎職業生活上・日常生活上・社会生活上の支援を特定技能外国人の方が十分に理解できる言語で行える体制を有していること
※特定技能外国人の方の母国語が話せる通訳者が必要です。
通訳者は外部委託も可能ですが、特定技能の方が相談しやすい時間帯に対応し、緊急時も連絡可能である必要があります。
◎分野ごとの特有の事情に鑑みて定められた基準に適合すること
※分野別運用方針及び運用要領に定められた基準に適合する必要があります。
◎受入れ後は、1号特定技能外国人支援計画の実施状況に関する届出を行うこと
※特定技能1号の受入れ企業は、四半期(1~3月、4~6月、7~9月、10~12月の各区分)の翌四半期の初日から14日以内に、実施状況について提出する必要があります。届出対象の四半期中に予定の支援を実施しなかった場合も「支援未実施に係る理由書」を提出する必要がありますので、ご注意ください。
◎労働、社会保険及び租税に関する法令を遵守していること
◎1年以内に、特定技能外国人の方と同種の業務に従事する労働者を非自発的に離職させていないこと
◎1年以内に、受入れ企業の責めに帰すべき事由により雇用する外国人の行方不明者を発生させていないこと
◎欠格事由(5年以内に、関係法律や暴力団関係法令、刑法等の違反により刑罰を受けた、実習認定の取消しを受けた、破産手続開始の決定を受けて復権を得ないなど)に該当しないこと
※法人の場合は、全ての役員の方が対象です。
◎5年以内に、出入国又は労働関係法令に関する不正行為を行ったことがないこと
◎受入れ後は特定技能外国人の方の活動状況に係る文書を作成し、雇用契約の終了日から1年以上保管すること
◎特定技能外国人の方から、保証金を徴収しないこと
※送出し機関による徴収も含みます。
◎特定技能外国人の方の雇用契約について、他者との間で違約金を定める契約を締結していないこと
※送出し機関による違約金を定める契約も禁止されています。
◎特定技能1号外国人の方の支援に要する費用について、直接又は間接にその外国人の方に負担させないこと
◎特定技能外国人の方を派遣労働者として受け入れる場合、派遣元はその外国人の方が従事する分野に関する業務を行っていること
◎労災保険に係る保険関係の成立の届出を適切に履行していること
◎特定技能雇用契約を継続して履行する体制を有していること
◎特定技能外国人の方への報酬は原則、本人の同意を得た上で預貯金口座への振込みなどにより行うこと
※その他待遇に関しても、特定技能外国人の方に対して雇用契約時に分かりやすく説明する義務があります。
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